つくばいの基本的石組


11月15日(月)

つくばいの石組は最初は簡単なものであったと思います。
露地の形式が進展するについで、つくばいも漸次整備されて手水鉢を中心に他の役石をも配置するようになったんでしょう。

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その石組の基本となるものに

(1) 手水鉢(つくばいの中心となるもの)

(2) 前石(袴すり石ともいい、手水鉢に対して正面に据え、飛石などと連絡する)

(3) 湯桶石(手水鉢の右側(左の場合もある)におき寒い季節には湯桶をこの石のうえにおく)

(4) 手燭石(手水鉢の左側(右の場合もある)におき湯桶石よりやや低く据え、夜会などの際は手燭または行燈をこの石の上におく)

(5) 水門(手水鉢の前石または周囲にあって水の流れる凹みのところで水吐または海とも呼ばれていて表面は三和土仕上になっていることが多く、その中心に吸込の穴をつくり、穴の口にはゴロ太石数個を重ね、または古瓦などをおき使い水のはねかえりを防ぐ)

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手水鉢と前石の間は柄杓を右手に持って水を汲むのに都合のよい間隔におきますが、
普通60~70cmを標準寸法とし、手水鉢は地上50cmとすれば湯桶はそれより10~15cm低くし、手燭台はそれよりもさらに10cm位低く据え、前石よりも約15cm高くして、前石は地上約10cmに配置するのが基本形だと言われてます。

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湯桶石と手燭石の位置は流儀によって左右を反対にすることがあっても、
その高さは標準寸法によるものとしますが、手水鉢の高さや大きさまたは形態によってこの寸法を変更することもあります。

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つくばいを構成する石組や手水鉢は、多少の風化を外観にうけていても内容は寂びのある野趣的なものや精巧華麗なものなどがありますが、つねに清冽な水を対象として自然と実用を巧みに生かし、露地作法という用から生まれた日本的な美の表現だと思ってます。

by tokan-en-hardrock | 2010-11-15 10:36 | Hard Rock

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